「今が青春?」 誠二が聞いた。 ……これが青春? すると誠二が笑って言った。 「青春って聞くとさ、どちらかと言うと夕日に向って走るとか、夕日に向ってバカヤロー!って叫ぶとかさ・・・そういう印象があるけどね。」 「誠二の想像する青春って、夕日ばっかじゃん。夕日に向って走るって、青春っていうより熱血だし。」 僕も笑った。苦しいくらい笑った。 そうするうちに陽は暮れ、僕等はギターを背負いいつもの浜辺にいた。 誠二が浜辺へ歩く。 僕も誠二の後に続く。 「バカヤロォー!」 誠二は海に叫んだ。 「はい。これで青春じゃん!」 幼い笑顔で振り向く彼。 「一瞬だけかよ。」 「声続かないっつーの。何回言えば青春クリアなんだよ。」 「クリアとかないしっ!」 僕は彼の頭を軽く叩いた。 赤い夕日が彼の頬を照らす。 一定のリズムで波の音が聞こえる。 すると、隣から小さくハミングが聞こえた。 今日、僕らがステージで演奏した曲だ。 彼の歌声は羨ましいほどにしっかりと音程を捉えており、僕は彼の声に耳を傾ける。 気が付けばもう日は沈んでいた。 遠くの空はまだうっすらと赤い。 僕らの上にはもう一番星が光っている。 「帰ろうか。」 僕は言った。 誠二と僕は並んで浜辺を歩いた。 僕らの足跡だけが砂浜に残る。 僕等はお互いの家の方向へ交差点を曲がった。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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