物語

Which? 1 (グロ?シーンあり!!)



気づけば僕はそこに倒れていた。
そこと言っても僕の知らない場所だった。
建物同士の狭い隙間らしい、ひと一人入るのでも精一杯だ。
これまでの記憶は何一つと残っていない。
僕はその場に寝そべったまま考えた。
目を開くと左目から見た景色だけが赤く染まっている。
何故だろう?
僕は左目に手を当てようとしたときだった、正常な右目に映ったものは何やら赤い液体の付いた右手だった。
鉄臭くて、赤黒いそれは血だとすぐにわかった。
どこか怪我をしているのか?
こんなに出血しているとしたら痛むはずだ。
でも、何ともない。
・・・・・・どういうことだ。
僕は立ち上がって自分の体を見た。
なんだ・・・・・・これは。
まるで血のシャワーでも浴びたように全身血が付いている。
僕は昔読んだ推理小説を思い出した。
殺人犯の男が返り血を浴びたとき、『まるで血のシャワーを浴びたようだ。』と表現していた。
・・・・・・まさか。まさかな。
それからどんなに考えても記憶が戻らなかった。
これが自分の血じゃないという証拠は無い。
人を刺して返り血を浴び、そのまま無我夢中でここまで逃げてきたとしたら?
記憶は無いが自首すべきだろうか。
しかし、自首をして何になる。
まだ僕が殺人者だとは確定されてはいないのだ。
僕は身を隠しながら、物陰から辺りを見回した。
どういうわけか車も人も、音も無い、沈黙の街だった。
僕は身を潜めるのを止め、道路に立った。
やはり、僕の見る限り人一人見当たらない。
・・・・・・どういうことなんだ?
そのときだった。
背後から小さな足音が聞こえた。


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