物語

天使が舞い降りた日には* 9


 僕はリビングの床で朝を迎えた。今日は彩のほうが早起きだったらしい。冷たい風と、眩しい朝日が開け放たれた窓から入ってくる。
 そういや、昨日そのまま寝たんだっけ。
 いつの間にか僕の体に毛布が掛けられていた。昨日の夜、どうりで寒くなかったわけだ。
僕はベランダにいる彩の後姿を少しの間、見ていた。
 後二日。
 手を離せばいなくなってしまいそうだ。彩が此処に来て今日で四日目だか早かったように感じる。しかし、時間が経つに連れ、僕はさらに彩に惹かれていっていると言う事。
「亜紀良さん。おはようございます。」
 僕に気づいた彩はベランダから戻ってきた。僕が目覚まし時計に使っているデジタルクロックを見ると、八時すぎだった。
「行きたいところとかある?」
 朝食を済ませ、隣に座る彩に聞く。彩は観光スポットの紹介番組を見ていたようで、今紹介されていた水族館を指差した。
 ガラス張りになった大きな青い水槽の中を、鮮やかな色をした大きなが悠々と泳いでいく。
「綺麗です。」
 場所は此処から少し遠い同県内にある漁港の近く。昔、僕も両親と一緒に改装される前のこの水族館に遊びに行った記憶がある。小さな水槽にいたエビや小さな魚、貝などをスル―して、大きな水槽にいる魚や海獣ばっかり見ていた気がする。その水族館の前に砂浜があって、夏に行ったときはその砂浜で遊んだ。
「準備しよう。」
 運転席と助席に乗り込み、車検を済ませたばかりの僕の車に乗り込む。カーナビに行き先を設定し、アクセルを踏む。彩は昨日買った青のグラデーションのロングスカートとデニム生地のジャケット。彼女にはとても似合っていた。
 高速道路に乗ると、昨日電車から見えた海が右側に見える。水面がきらきらと光っていて、彩は僕越しにそれを見ていた。
車内では地元のラジオ番組が流れている。『人気の観光スポット』という内容がラジオでも話していて、今から僕らは行こうとしている水族館の情報もあった。
「亜紀良さんは水族館とかは良く行かれるんですか?」
「最近、というか何年もいってないなぁ。小学校の頃とか、よく親が連れて行ってくれて。水族館とか、遊園地とか、映画館とかさ。」
 昨日の映画館に小さい頃はもっと映画を見に行っていた。小学生の男子の間で流行っていたヒーローものの映画など見た覚えがある。
「楽しかったですか?」
「楽しかったよ。ほんと、あっという間。」
 僕らは途中のパーキングエリアで休憩をとることにした。彩と自販機で缶珈琲を買い、海の見えるベンチに座る。海から吹く風が少し肌寒い。


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