物語

MANEKINN

MANEKINN


「私」はあるデパートの洋服売り場にいた。
ただ商品を着て立って一日を終える。
人々を眺めて一日は終わる。
私の年齢は多分中学生くらいだろう。
いつも微笑してそこに立っている。
私はそれ以外の表情は作れないし、歳だってとる事は無い。

だって私はどこにでもいるような普通のマネキンなのだから・・・・・・

照明が点き、人の足音が聞こえ、私はいつも通りの朝を迎える。
私はジーパンを穿き、青い長袖の服の上にフードの付いた白い半袖の上着を着ていた。
後はいつも通りに微笑して立っていた。
四時を過ぎた頃だろうか、小学二年生くらいの男の子とその母親だろう長髪の女性が私の近くに歩いてきた。
「ママ、この服がいい。」
その子は私を指差していった。
「でも、これはちょっと大きすぎるんじゃない?」
母親が私を見て言った。正確に言えば、私の服を見て言ったのだが・・・。
「これが良いよぉ!」
私の着ている上着を引っ張った。
そのせいで、私の体が揺れてガタガタと音を出す。
母親が上手に私から上着を脱がせ、その子に着せてみた。
「思ったより、大丈夫そうねぇ。」
その子には少々大きかったが丈はそこまで長くはなかった。
母親がそれをレジに持っていき、二人は紙袋を手に提げて笑いながら歩いていった。
私は微笑ましくその光景を見ていた。
どこか羨ましくもあった。
でも、私はそれで幸せだった。
人々の笑顔が見られるのだから。
私はここに立ち続ける。
いつかきっと壊れて捨てられてしまう日が来ることは知っていた。
だから私はその日までここに立ち続ける。

だって私はどこにでもいるような普通のマネキンなのだから・・・・・・




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